コラム
歯周病はお口の中だけの病気ではありません
皆さんこんにちは。
山口市中河原町、県道204号線とパークロード近くにある、藤井歯科医院です。
歯周病はお口の病気ですが、最近になって全身疾患との関連性が話題になっています。
でも、どうしてお口の病気が全身の病気に?と不思議に思われる方も多いでしょう。 今回は、歯周病と全身疾患の関係についてご説明いたします。
歯周病は全身に影響を与える
歯周病は、歯に付着したプラーク(歯垢)や歯石の中で繁殖した歯周病菌によって、歯ぐきに炎症を起こす細菌感染症です。
歯周病菌は歯ぐきの血管から体内に侵入し、血液とともに全身をめぐっていきます。 そのうち、歯周病菌自体は体内の自浄作用によって死滅していきますが、死骸から発生する毒素や、歯ぐきで発生した炎症物質はそのまま体内をめぐり、全身で病気を引き起こす原因となってしまうのです。
歯周病と全身疾患の関係
歯周病が誘発したり悪化させたりする病気には、以下のようなものがあります。
歯周病菌などの刺激により血管内にプラークができ、プラークが剥がれて血の塊ができると、その塊によって血管が詰まって動脈硬化などの心疾患や、脳梗塞などの脳疾患を引き起こします。
また、糖尿病の人は歯周病にかかりやすい、歯周病の人は糖尿病になりやすい、さらに歯周病になると糖尿病の症状が悪化するということがわかっています。
これは、歯周病菌の出す毒素によって、血糖値を下げるホルモンやインスリンの働きが弱まってしまい、血糖値が上がりやすくなることが原因です。
日本人の死亡原因の3位である肺炎のうち、誤嚥性肺炎も歯周病が原因です。
高齢になると食べ物などの異物を気管や肺に入れないようにする機能が弱り、異物とともに歯周病菌も取り込んでしまうためです。
ほかにも、妊娠すると、歯肉炎や歯周病にかかりやすくなるといわれています。
これは、エストロゲンという女性ホルモンが歯周病菌の増殖を促すことや、歯ぐきの細胞がエストロゲンの標的となるためです。
さらに、妊娠中に歯周病にかかると、低体重児や早産の危険度が高くなることが指摘されています。 これはお口の中の歯周病菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。
定期検診の重要性
このように全身の健康にまで悪影響を及ぼす歯周病。
これを防ぐには、歯科医院での定期検診が大切になってきます。
歯科医院では、歯周病の進行度の確認や、プロによるクリーニングで普段の歯磨きでは落としきれないプラークや歯石の除去、歯ぐきの炎症が観られる場合には、消毒による消炎処置を行います。
さらに重症化している場合には、歯ぐきを切開して歯石を取る、溶けてしまった歯を支える骨を再生する、といった外科的処置も必要になってきます。 ほかにも、歯並びに合った適切な歯磨きの方法の指導もあります。
まとめ
歯周病はお口の健康だけでなく、命にかかわるような病気にも関わってくる恐ろしい病気です。 歯周病を治療・予防することは全身の健康にも繋がりますので、歯磨きや歯科検診でしっかりケアしていきましょう。