コラム
親知らずを抜歯することが多いのはなんで?
皆さんこんにちは。
山口市中河原町、県道204号線とパークロード近くにある、藤井歯科医院です。
「親知らず」と聞くと、「抜かなくてはいけない歯」とイメージする方は多いかと思います。
その通り、親知らずは抜歯が必要なケースが他の歯に比べて多い歯です。 なぜ「歯を大切に」というのに、親知らずは抜歯しなくてはいけないのでしょうか?
親知らずはむし歯になりやすい
親知らずは、永久歯の中で最も遅く、一番奥に生える歯のことです。
永久歯は通常15歳前後で生えそろいますが、親知らずは他の永久歯に遅れて10代後半から20代前半ごろ、親に知られることのない年齢で生えてくることから、このように呼ばれています。
親知らずは、このように一番奥に生えてくるため、歯磨きがしづらい歯です。 さらに、斜めに生えると余計歯磨きがしづらくなり、それが原因でむし歯や歯周病が発症しやすくなるのです。
痛みが出やすい
親知らずが痛む原因はさまざまです。
限られたスペースに生えてくるのでまっすぐに生えてこないことが多く、周囲の歯や骨、歯茎を圧迫するためです。
また、親知らずが生えることによって生じる歯周トラブルが原因になっていることもあります。 むし歯になりやすいのも、痛みの原因となります。
周りの歯にも影響しやすい
親知らずがまっすぐに生えてこないと、隣の歯を圧迫して痛みを起こしたり、すき間ができて隣の歯までむし歯になったりすることも多くあります。
また、歯磨きがしづらいことで「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を起こすこともあります。
智歯周囲炎とは、親知らずの周辺の歯ぐきに雑菌が繁殖して起こる炎症で、あごに痛みが生じます。
さらに、むし歯や歯周病、智歯周囲炎などの炎症が周囲の組織にまで侵入することで「歯性感染症」を引き起こす場合もあります。
歯性感染症には、顎骨骨膜炎(がっこつこつまくえん)や化膿性リンパ節炎などがあり、抗生物質を使用し炎症を抑えることになります。 重症化した場合には、点滴などを用いることもありますが、親知らずを抜かない限りは治すことができません。
まとめ
親知らずがまっすぐ生えてきて、痛みもなく、周囲の歯に影響を与えていない場合は、抜歯する必要はありません。
また、最近はむし歯や歯周病などで失くした歯の代わりに親知らずを移植するという治療法もあるため、親知らずをあえて保存しておくという選択肢もあります。
ですが、痛みがひどい場合や、斜めや横に生えていてむし歯や歯周病などのリスクが高い場合は、抜歯をしたほうがよいとされています。
また、完全に歯ぐきの中に埋まっている場合も、歯ぐきの中で周囲の骨や歯を圧迫したり溶かしたりすることがあるため、抜歯する必要があります。
このように、親知らずは痛みの有無に関わらず、抜歯したほうが良いケースがあります。 ご自分では痛みもないのでとくに問題ないと思っていても、後にトラブルの原因となることもありますので、定期検診などで確認してもらうといいでしょう。